行田市民大学15周年特別講座「勝負の世界の厳しさと楽しさ」が開催されました。

行田市民大学15周年特別講座「勝負の世界の厳しさと楽しさ」が日本将棋連盟女流棋士矢内理絵子女流5段を講師に迎えて2024年9月5日(木)に行田市総合体育館グリーンアリーナ2階研修室で開催されました。

行田市民大学今村武蔵理事長は15周年特別講座をお願いした経緯と第2回さいたま耀き荻野吟子賞の受賞、行田市観光大使第1号であると講師の矢内理絵子女流5段を紹介し挨拶されました。

講師の矢内理絵子女流5段と今村武蔵理事長

前半は矢内理絵子女流5段の自己紹介と将棋普及活動の取組み、女流棋士会の立ち位置、対局と検分の細かな説明など興味深い内容。

矢内理絵子女流5段は一人っ子。小学3年時に将棋かゴルフか、将棋好きな父親から手ほどきを受ける。小学5年の時に養成機関の女流育成会に入会。中学2年で女流プロ棋士。30年経過し女流棋士も増加、強い人も多くなった。女性より男性が実力高いという。脳のつくりが違うという人がいるが根本的に歴史が違う。男性は江戸時代徳川家康のころから400年の歴史があるが女性は50年の歴史。女流棋士は現在71名。人数の増加で華やかになってきた。プロ棋士の昼食が話題になるなど距離感が近くなった。インターネットの普及により情報も多く、将棋熱が高まっている。脳の切り替え。1手に1~2時間。*沈思黙考の時間の大切さ 脳を使うときはチョコレート、和菓子が好まれる。

2013年東京大学大学院総合文化研究科客員准教授に就任、実技指導、作法を講義。2009年からNHK Eテレ「NHK杯将棋トーナメント」の司会を2期5年間務める。

教育現場に将棋の取入れが進む。小学生への普及活動:①プロ棋士、女流棋士②対局 新聞社とのつながりも大事。タイトル戦で地方に出る。タイトル戦では和服を好み着用している。タイトル戦のスケジュールは1日目現地へ赴く、2日目対局、3日目帰路に就く。対局の後半戦がステージに畳を敷き多くのファンの目の前で行われることもある。検分はリハーサル。空調(温度)、音(庭の滝音なども)、座布団の座り心地、明るさ(朝・昼・晩の違いによる照度・照明のテスト)など対局場を良い環境に整備される人々に感謝の念を述べる。心に残るタイトル戦は①霧島杯②倉敷藤花戦③第1期マイナビ女子オープン初代女王④レディスオープントーナメント優勝。

後半は将棋から培ったものとした内容で、将棋を通して学んだ”6つの力”を対局経験で得た示唆に富む解説。

1⃣ 集中力 ≒ 緊張感 勝てない➝つまらない

      

  ・一流のものに触れ、奥深さや面白さを実感する。もっと知りたくなる。好奇心がわく(良い循環)。

  ・小学4年で関根茂9段門下に、師から同じ目線で指導を受ける。考えることの楽しさを実感する。

  ・集中力の維持、それを高める(小さな工夫)。メリハリをつける(1時間以内で解くなど)。目的意識を持つ。

2⃣ 直感力 記憶

     

  1.自分で意識して思い出させる記憶。 2.意識的に思い出せないが、ふとした瞬間によみがえる感覚的な記憶。

  ・直観の7割は正しい:一貫性がある。流れの中の道理。ふっと力を抜いた時に働く。

3⃣ 決断力 ≒ 開き直る力

     

  ・必要以上に慎重にならないこと。

  ・1局:負け 2局:指がふるえる←負けない強い気持ち 3局:前に出ていく手、強い気持ちで 2勝1敗で勝ち精神的な成長を感じた

  ・10代、20代は若い勢いがある。失敗を恐れブレーキをかける。意識してアクセルを踏み込む前向きな心が必要。

  ・人に限界はない。自分で線引き(限界)を設けないこと。

4⃣ 忍耐力

     

  ・九 × 9 の81のマス

  ・逆転が多い。1手で負ける。どれだけミスを少なくするか。

5⃣ 失敗に対応する力・感想戦

     

  ・研究会で試す。この繰り返し。*同じ失敗を防ぐ。

  ・”感想戦”:勝負の振り返り。自宅に帰ってひとり感想戦もする。

  ・あせりは動揺を招く。一呼吸置く、気持ちの切り替え。二つ目のミスを防ぐ。

  ・「前後除断」:目の前のことに集中すること。最善を尽くす。

  ・有利な手へのあせり、早く勝ちたい、気持ちを押さえて150手を超えて3連勝、女流タイトルを取る。

6⃣ 正しい3手の読み

     

  ・なぜ、先まで読んでいるのか。羽生さんは500手。直線距離で10手、横広がりで500手。

  ・自分に都合の悪い相手の3手を考える。相手の立場に立って考える。

*上達の秘訣:セオリーを覚える。定跡を覚える。問題を解く。

*正しい対局観:四隅の香車、盤全体を見て、おさまり、先を見てチャレンジする。

*好きな言葉「万里一空」:やるべきことを見失わず頑張り続けること。

*対局は基本、正座で痛さを感じない。

今日の講演内容を片隅に置いて日々の生活の中で役立てて欲しい。と結ばれました。

質問コーナー 名人戦を行田で開催することは可能でしょうか。との問いに笑顔で可能です。と即答がありました。

ご多忙の中、ご講義いただいた矢内理絵子女流5段に感謝し、本日の講演で学ばせていただいたことは、毎日の生活に、健康麻雀にも相通じることだと思い、今日から一日の感想戦を実行することとします。

矢内理絵子女流5段の益々のご活躍をご祈念申し上げます。