行田市民大学同窓会 講演会「私心のない活動は人を動かす」が開催されました。

行田市民大学同窓会 講演会「私心のない活動は人を動かす」が、講師に三沢 一水先生を迎え2023年11月29日(水)に忍・行田公民館ホールで開催されました。前半の50分は郷土史研究家、文化活動家である三沢一水先生の半世紀の活動史を語っていただく講演「私心のない活動は人を動かす」、そして後半の50分は初心者に向けた俳句講座「俳句の基礎、行田の俳人・歴史、添削指導5句」でした。              *写真をクリックすると拡大します。

講師の三沢一水先生

司会・開会する渡辺国雄クラブ活動委員長

挨拶と講師紹介する尾畑会長代理

私心のない活動は人を動かす 平成18年行田市と合併する前の南河原村は、人口が約4,000人、埼玉県政史上初の首長リコールがあり二つに分かれた村を一つにまとめたいと南河原村の良識を守る会を37歳の時に立ち上げる。種々の文化サークルを取り纏め南河原文化会を創設する。婦人会からのご当地ソング創作の要望で「南河原はつらつ音頭」制作活動で松本文男(音楽家)と知り合う。制作費用のために南河原文化会、婦人会で寄付金目標を上回る寄付金を集める。寄付者に対して寄付金の謝礼に活動記録帳を贈る。昭和61年ママさんコーラスを創設、松本文男の指導を受ける。昭和62年「ジャガイモの会」に出演。外務大臣表彰 難民救済 ひまわりの会 和太鼓「武蔵あばれ太鼓」を松本文男作曲で創作。埼玉県太鼓連盟に参画。埼玉を知ってもらうため太鼓連盟全国大会を招致。「ださいたま」の打破。全国大会を埼玉でやりたい。会場使用申込にあたり、会場の予約条件は①3か月前の受付②抽選あり、但し、第1回目の団体には貸すことができない、との窓口の応対、これでは会場が決定できず全国大会の招致は暗礁に乗り上げたが、知事と面会が叶い全国大会の会場を押さえることができ開催にこぎつけた。平成2年の畑知事が南河原を訪問した際の「貧乏な所は知恵を出すなぁ」、この一言を励ましとして受け取った。土屋知事は「ださいたま」でマスコミとけんか、この姿に父親像を見る。90万円の太鼓の補助金交付を受けることが出来た。平成17年12月31日(翌平成18年行田市との合併)お別れカウントダウンを開催。役職には長く留まらないとの信念から社会教育委員、文化財保護委員など役職を退任する。

寄付金謝礼の活動記録帖を示す三沢一水先生

俳句基礎、行田の俳人・歴史、添削指導5句 三沢一水先生は、俳歴55年を数え、60余年の伝統を持つ行田市俳句連盟会長(6代目、在任期間11年半)、市報ぎょうだ俳句作品選者を務められています。三沢先生は俳句の歴史、行田の俳人と正岡子規との交流、子規が行田・館林を訪れた話を交えて俳句の初歩を講演されました。俳句は、五七五の十七音の中に季節を表す季語を読み込む有季定型が原則で、俳諧の連歌の発句(第一句)を指す。①日本伝統俳句協会:1987年「ホトトギス」を主宰した稲畑汀子が中心となり任意団体として発足②現代俳句協会:1947年、有季定型で作る人、有季・無季を問わず定型で作る人、口語書きや自由律で作る人まで様々な俳句観の人が集まる③俳人協会:1961年、現代俳句協会から有季定型派の俳人が分離する形で設立④自由律:尾崎放哉の師である荻原井泉水が提唱した。五七五の定型俳句に対し、定型に縛られずに作られる俳句、季題にとらわれず感情の自由な律動を表現することに重きが置かれる。著名な俳人として種田山頭火。俳句は400年の歴史があり明治20年代に正岡子規が新しい独立の詩形式として「俳句」の称を用いた。伝統俳句に対立して口語・非定型(自由律)・無季俳句などがある。本格的な俳句は松尾芭蕉(:閑かさや岩にしみいる蝉の声)、与謝野蕪村は写生俳句(:菜の花や月は東に日は西に)、小林一茶は境涯俳句(:これがまあ終の栖か雪五尺) 正岡子規は明治24年に武蔵三日旅をしている。行田の俳人に正岡子規の門下の川島奇北、石川雉子郎がおり、行田・館林の訪問により子規が俳句に目覚めた、との説がある。子規の門下生の河東碧梧桐編「子規言行録」(昭和11年刊行)から、これは真実と考える。 木枯やあら緒くいこむ菅の笠 俳句革新では伊藤松宇、尾崎紅葉らが従来の俳諧連座(句会)を廃止し互選方式を取り入れる。高浜虚子(:大空に羽子の白妙とどまれり)は、同級生の河東碧梧桐を介して正岡子規を知り碧梧桐と共に子規の俳句革新を援ける。   百点満点の俳句はない。お互いのプライドあり、どっかでひっかかる。「口語俳句」自分の俳句に物足りなくなる(自分が気付く)。芭蕉の前に俳句なし芭蕉の後に俳句なし 俳句添削指導・5句 ①雁渡る句会へ向かう傘寿過ぎ 雁渡る(秋)句会(3音となる)80歳過ぎが強調されるだけ 添削指導:晩学の句座へ急く路雁渡る ②猛暑過ぎ季節のうつろい実感す 猛暑(夏)秋のたたずまいとなったな 添削指導:つくつくし季の移ろいを実感す 法師蝉 秋の蝉 秋になったな 余韻余情 思わず秋になったな ③語彙不足文語の唱歌に忍ぶ空 (無季) 語彙不足残念だな 添削指導:月凍つるつくづく自覚語彙不足 月凍つる(冬の季語) ④旅立ちの星の世界にやれはす(敗荷)や やは下句に使わない やれはす(秋)であるがこの場合には相応しくない 添削指導:空席に友の俤星月夜 星月夜(秋)冬銀河(冬) ⑤冬の海 忍藩の鐘 波山の名 三段切れは駄目 添削指導1:忍藩の痕跡とどむ安房の冬 添削指導2:波山の名刻む陣鐘寒怒濤 寒怒濤:冬の海の波  吉川波山に川島奇北の父が教わる

謝辞を述べる永島会長

講演会の終了後に、12期生の皆さんにものつくり大学で講義受講を経験していただける企画への参加案内がありました。

12期生の皆さんに説明する水野事務局長

三沢一水先生は会場使用の申込の際に、1回目では受付けられないとする窓口担当応対に対し、それでは初回の申込者は永遠に使用ができない事になる、と理不尽な対応に立ち向かい会場使用を勝ち取られました。俳句では市内に九つの句会を主催されています。俳句は苦しいもの、俳句は生み出すもの(作家になる) 、苦しむことが俳句の楽しさ、と述べられました。日常に生じる理不尽なことには信念をもって闘いたいと思います。初心者講座をきっかけに文芸に触れてやってみよう!ことばでつなぐ俳句を。

参加者34名、司会・開会:渡辺国雄クラブ活動委員長、挨拶・講師紹介:尾畑会長代理、謝辞:永島会長  広報交流委員会 田島