2023年行田市民大学同窓会7月講演会「人生100年時代を見据えて」が開催されました。

行田市民大学同窓会の7月講演会「人生100年時代を見据えて えっ!まだ食べているの? まだ食べていないの?」が講師に鹿山高彦様(土橋薬局薬剤師、行田市教育委員)を迎えて令和5年7月27日(木)、忍・行田公民館ホールで開催されました。

2023年7月講演会 司会の水野武久事務局長

2023年7月講演会 挨拶する永島宏章会長

本日は、皆様の「健康」はもちろん皆様のお孫さんの「健康」と「将来」についてまでも、お話いたします。で始まりました講演会「人生100年時代を見据えて」の内容を一部ご紹介します。

講師 鹿山 高彦さん 土橋薬局薬剤師・行田市教育委員

トランス脂肪酸 あぶらには、常温で液体の油と個体の脂があり、まとめて油脂と呼んでいます。油脂は、脂肪酸とグリセリンという分子からできています。油脂や脂肪酸、グリセリン、コレステロールなどを合わせて脂質と呼んでいます。脂肪酸は、人間のからだの細胞を作るために必要なので食品を通してバランスよくとる必要があり、エネルギー源としても使われます。脂肪酸には、炭素間の二重結合がない飽和脂肪酸と炭素の二重結合がある不飽和脂肪酸の2種類があります。不飽和脂肪酸には、水素原子Hが炭素Cの二重結合をはさんで同じ側についているシスcis型と水素原子が炭素間の二重結合をはさんでそれぞれ反対側についているトランスtrans型の2種類があります。天然の不飽和脂肪酸のほとんどは、炭素間の二重結合がすべてシスcis型です。これに対してトランスtrans型の二重結合が一つ以上ある不飽和脂肪酸をまとめて「トランス脂肪酸」と呼んでいます。トランス脂肪酸には、天然に食品中に含まれているものと油脂を加工・精製する工程でできるものがあります。天然にできるものとして、天然の不飽和脂肪酸は、通常シス型で存在します。牛や羊などの反芻動物では、胃の中の微生物の働きによってトランス脂肪酸が作られます。そのため、牛肉や羊肉、牛乳や乳製品の中には微量のトランス脂肪酸が天然に含まれています。油脂の加工・精製でできるものとして、常温で液体の植物油や魚油から半固体状又は固体の油脂を製造する加工技術の一つに「水素添加」があります。水素を添加することで不飽和脂肪酸の二重結合の数が減り、飽和脂肪酸の割合が増えますがこれによってトランス脂肪酸ができることがあります。部分的に水素を添加した油脂を用いて作られたマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングやそれらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などにトランス脂肪酸が含まれているものがあります。植物や魚からとった油を精製する工程で、好ましくない臭いを取り除くために高温で処理することにより油に含まれているシス型の不飽和脂肪酸からトランス脂肪酸ができることがあります。サラダ油などの精製した植物油にも微量のトランス脂肪酸が含まれているものがあります。トランス脂肪酸については、食品からとる必要がないと考えられており、とりすぎた場合の健康への悪影響(心臓病の他、糖尿病、認知症、ADHD、不妊症のリスクが高まる)が注目されています。脂質やトランス脂肪酸をとる量が多く、生活習慣病が社会問題となっている多くの国では、加工食品中の飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の含有濃度の表示の義務付け、部分水素添加油脂の食品への使用規制:EU、イギリス、スイス他、トランス脂肪酸の食品への添加(製造過程でトランス脂肪酸ができることがある部分水素添加油脂)を禁止:アメリカ、台湾、カナダ、フィリピン他を行っています。

アクリルアミド アクリルアミドができる主な原因は、原材料に含まれているある特定のアミノ酸と糖類が、揚げる、焼く、焙るなどの高温での加熱(120℃以上)により化学反応を起こすためと考えられています。じゃがいも等を油で揚げるなど高温調理(120℃以上)すると糖とアミノ酸(ブドウ糖とアスパラギン)が反応してアクリルアミドという有害物質(発がん物質)ができます。アクリルアミドは、炭水化物を多く含む原材料を高温(120℃以上)で加熱調理した食品に含まれる可能性があります。例えば、ポテトチップス、フライドポテトなど、じゃがいもを揚げたスナックや料理、ビスケット、クッキーのように穀類を原材料とする焼き菓子、また、コーヒー豆、ほうじ茶葉、煎り麦のように高温で焙煎した食品にも高濃度に含まれていることが報告されています。

コラーゲン ありがたみを感じるようですが、所詮にかわ、ゼラチンです。牛筋、鶏の皮など硬くて食べずに捨てるものに含まれています。成分的にはタンパク質です。タンパク質を食べると、消化されてアミノ酸に分解されます。それがまた、自分のコラーゲンになる確率はほぼゼロです。コラーゲンを構成するアミノ酸の生成にはビタミンCが必要なため、ビタミンCが不足するとコラーゲンの合成ができなくなり壊血病を引き起こします。コラーゲンを多く含む食品としては、ゼラチンのほか鳥の手羽・フカヒレ・牛筋・鶏皮などがありますが食物から必要なたんぱく質が摂れていればコラーゲンが特に不足することは通常ありません。

鉄分 鉄分は脳の発達に極めて重要です。特に早期(胎児期・乳幼児期)に鉄欠乏から脳を守ることは最重要課題です。しかもそれが知能・高次機能・運動機能を決定づけるとさえ言われています。(*高次脳機能とは大脳新皮質が司る認知機能や理性のコントロールといった機能)7歳までの鉄欠乏は、認知機能にも悪影響を及ぼします。鉄欠乏性貧血は、成長期においても大きな問題となります。特に運動領域が影響を受けやすく、でんぐり返しが出来ない、手と足が別々の動きをする、ジャングルジムや鉄棒が苦手などです。実は、鉄分は葉酸、ナイアシンと共に脳内神経伝達物質の合成に欠かせない重要な栄養素なのです。体内の鉄には、血液中の「ヘモグロビン」と貯蔵鉄である「フェリチン」があります。通常、貧血かどうかは「ヘモグロビン値」で判断されます。しかし、フェリチン値も検査する必要があるのです。お金に例えると「ヘモグロビン」は財布の中のお金、「フェリチン」は銀行預金です。財布の中にお金が多少あっても銀行預金がなければ十分とは言えないでしょう。鉄分の吸収率は植物性より動物性が優れています。(食品:吸収率%、豚レバー・牛レバー:13、まいわし:11、獣鳥肉:23、魚肉:8、野菜:1~4、ほうれん草:1)ただし、レバーなどは、ビタミンAも豊富なため妊娠希望婦人や妊娠初期には、動物性由来のビタミンAは摂りすぎないように注意が必要です。鉄分の必要性は、子供だけではありません。高齢者も必要です。高齢になると血液を作る能力が衰えてきます。そしてさらに食事の量も減ってくるため貧血になりやすいのです。*南部鉄製のフライパンの使用がお勧め

市民大学同窓会講演会の様子

ミネラル不足を解消する方策です。1.外食やお弁当は減らし、なるべく自分で作る。2.野菜から調理する。(✕水煮野菜)3.煮汁ごと飲める料理(味噌汁など)、蒸す料理がお勧め。4.だしを鰹節、昆布、煮干しからとる。顆粒のだしは使わない。5.加工食品、カップ麵、清涼飲料水は控える。

納豆菌 乾燥や熱、酸に対して耐性が強いとっても丈夫な菌、扱いにくい、消化するのが遅く生きたまま腸にたどり着きます。腸内に届いた納豆菌は、悪玉菌の増加を抑えたり、自らが善玉菌として働いたり、酵素やビタミンを産生します。乳酸菌やビフィブス菌とも相性がよく、他の善玉菌の増殖を助長します。体外からやってくる微生物を腸内に住み着かせない性質を持つ腸内細菌のバランスを整え、腸の細胞に作用して免疫力を高める通過菌です。納豆菌のはたらきは①善玉菌の増加を抑える②自ら善玉菌として働く③腸内の善玉菌を助け、育てる④腸の細胞を活性化する⑤免疫細胞を強化し感染予防する。食後の高血糖が抑えられる。糖尿病の予防、血管の健康に良い。ポリグルタミン酸高含有納豆の食後血糖値上昇抑制作用。腸内の乳酸菌は酸素が嫌い。腸内の悪玉菌は酸素が好き。納豆菌は腸内の酸素をどんどん消費!

グルタミン酸 アミノ酸の一つにグルタミン酸があります。タンパク質のありかを感じ取るため、グルタミン酸をうまいと感じる生物が生き残ったのです。その後の研究で舌の上には酸味、苦味、甘味、塩味と対等にグルタミン酸に対しても特異な受容体が存在しているのがわかりました。薄い「昆布だし」だけでは頼りない、薄い「かつおだし」だけでも物足りない。しかし、二つを合わせるとあら、不思議!がぜん、うま味が引き立ってきます。「昆布だし」はグルタミン酸、「かつおだし」はイノシン酸。舌の上には、グルタミン酸をうまいと感じる受容体があります。実はその裏側にもう一つ別のポケットがあり、そこにイノシン酸がはまり込むと急にグルタミン酸の受容体の性能が高まるのです。敏感になるのです。

子供の時に弱い刺激(薄味)の感覚を鍛えることが将来微妙な風味の差を堪能できる基礎となるのです。➝それが生活習慣病を予防することにもつながるのです。

センス・オブ・ワンダー 「神秘や不思議さに目を見張る感性。」自然の精妙さ、繊細さ、美しさに対して驚きを感じる心。それは大人になってもその人を支え続けるのです。

ビタミンD カルシウムの吸収を促すだけではないのです。①骨代謝に関係するもの②腫瘍に関係するもの③脳のシナプス生成に関係するもの

ビタミンDの摂取量と健康問題の減少傾向

総死亡、がん死亡、循環器疾患死亡と相関 食物繊維を多く摂っている人ほど死亡率が低い。豆、野菜、果物を多く摂っている人ほど死亡率が低い。食物繊維は「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。小腸で消化・吸収されずに大腸まで達する食品です。水に溶けないセルロースやリグニン、水に溶けるペクチンやアルギン酸などの成分があります。更に消化されにくい性質を持ったデンプン(難消化性デキストリン)、オリゴ糖などの成分も含まれます。食物繊維は、体に絶対的に必要な成分ではありませんが、体の健康に深く関与する食品成分です。欧米において一日当たり24g以上の摂取で、心筋梗塞、脳卒中、2型糖尿病、乳がん、胃がん、大腸がんなどの発症リスク低下が観察されるとの研究報告があります。

食物繊維の働きと摂取方法

質疑応答についても、2名からの質問に対して、優しく丁寧な回答をいただきました。鹿山様、ありがとうございました。最後に、本日講演会の復習を添付し、日々の糧としたいと思います。

市民大学講演会 復習1

市民大学講演会 復習2

市民大学講演会 復習3

市民大学講演会 復習4

市民大学講演会 復習5

講演会に引き続き、クラブ研修委員会渡辺国雄委員長から、この令和5年3月に卒業した第12期生を対象に市民大学同窓会と各クラブの活動内容について説明と紹介がありました。クラブを選んで仲間となって、2年間で学んだことを日々の暮らしや地域に活かしたいと思います。

活動を説明するクラブ研修委員会 渡辺国雄委員長

行田郷土史研究会 関川忠彦代表

忍川の自然に親しむ会 田口 修さん

パークゴルフクラブ 黒沢悦男代表

1.参加者人数:51名  2.司会:水野事務局長  3.挨拶・謝辞 永島会長

講演会の報告にあたり、厚生労働省HP(生活習慣病予防のための健康情報サイト)を参考資料としております。

 

 

 

 

 

 

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